YMO

小学生のころ、姉が友達から借りてきたというスネークマン・ショーや矢野顕子のLPレコードがあった。

 

スネークマン・ショーの本当のところは子どもには分からなかっただろうけれどとにかく面白くて何度も繰り返される「ホテル・ニュー・越谷」の猥雑な響きやポール・マッカートニーの何枚もサインを書かされる様子をニヤニヤしながら聴いていた。

矢野顕子は「ごはんができたよ」のすっぴんのドアップに驚きながら不思議なほのぼの感に浸って聴いた。

 

それからNHKで放送されたんだと思うけどYMOのライブを姉と見たと思う。

矢野顕子坂本龍一は付き合ってるんだって」なんてことを教えてもらった記憶があるんだけど、ちょっとおぼろげ。

 

コントもやる、音楽はコンピューター、ボソボソしゃべる不思議なおじさんたち。

 

やがて大人になって、スネークマン・ショーや高橋幸宏のソロアルバムを買ったり、YMOの再生のライブに行ったり、矢野顕子Twitterのリプ貰って喜んだり。

付かず離れずわたしの生活にYMO界隈はあったと思う。

 

 

1月、NHK坂本龍一のライブを観たとき、その弱っている体から振り絞って送られてくる音楽の力強さに「あぁ、これは教授の遺言なんだろうな」と思った。こんなことを言っていいのかわからないけれど、きっと教授はこれが最後になるかもしれないという覚悟があったのではないかなぁ…

それくらい余韻が強く、とても寂しく感じたのだ。

 

だから、それから暫くしてユキヒロさんが宇宙へ帰ってしまったとき「そっちが先?」とショックを受けた。何日も何日も、仕事の合間や電車に乗ってるときにふと「ユキヒロさんが居ない」という喪失感に襲われた。

 

そして教授が旅立った。

やはり寂しい。でも。なんとなく既にお暇の挨拶を受けていた気もしていたので「お疲れさまでした」という感じもする。

 

今、細野さんのラジオを聴いている。

ユキヒロさんの特集だ。そしてYMOの特集でもある。

ふたりの声は優しい。

細野さんの番組最後の選曲は高野寛の「Cue

初めて聴いた。

青空のようなアレンジ。

 

ふたりを空へ送り出す音楽の音

空に向かって涙する

 

芸術は残る

人生は短い…

 

人は去る

優しさは残る

 

 

でも寂しいよ