人の終わり

先月、同僚が亡くなりました。

私が15日間休暇を取っている間の出来事です。
同じ担当をしていて、油と水。まったく気が合わず、時には口をきくのもげんなりな相手でした。

最後も確か交わしたのは「それって今やる仕事?」というようなつんけんした内容だったかと…。
今、あのときを振り返っても、また同じことを繰り返すだろうなというくらい仕事の方向性、目指すところは全く違う同僚でした。


体調が悪く、私が休暇に入ったすぐ後に彼も休暇をとることになったとか。
家族は居なかったそうです。
休暇が明けるはずの日に彼は出社しなかったため、職場の人間が彼の家に行って発見したそうです。
数日経っていたとのこと。

そのころ、私は実家に帰っていて、両親に甘えていたのではないかと思います。
はっきりしたことは分かりませんが…。


出勤して、上司からその話しを聞きました。

うーん。どうなんだろう。彼の人生とは何だったのだろう?
仕事熱心なのは誰の目にも明らかなことでしたが。そのために命を削ることになっていたとしたら。
それは彼の望むところだったのか?
それでも上を目指したかったのか?
それほど仕事が、会社が大事だったのか、好きだったのか…

何を思ってその時をむかえたのだろうか?


彼の親戚は彼とのしがらみをすべて拒否したそうです。
彼はいま、無縁仏として眠っています。
彼の家財はすべて産業廃棄物として扱われることになったそうです。


すべては又聞きに過ぎないことです。
彼の心についてはさらにわかりません。


どうだったのかな。
少しでも幸せな時はあったのかな。
私が心配することではないし。仲も悪かったし。
余計なお世話ですけど。

それでも。
こんな終わりを迎えていいはずは無かった。


昨日、職場の人たちとお墓参りをしました。
花束がたくさんありました。
「人生最大のモテ期じゃん!」と。

でも。そんなんじゃダメだったよ。

私もたいした人生を送っているわけではないけれども。

やっぱり君のこと嫌いだけど。
最後までいやな思いさせられたけれども。

そんなの、ないんじゃないかな…